
音楽教室のレッスンなどで使う楽曲の演奏から著作権使用料を徴収するのは不当だとして、教室を営む約240事業者が日本音楽著作権協会(JASRAC)を相手取り、徴収する権利がないことの確認を求めた訴訟の控訴審判決が18日、知財高裁であった。菅野雅之裁判長は、原告側の請求を棄却した1審・東京地裁判決を変更し、「生徒が演奏した部分は徴収権が及ばない」とする初判断を示した。
著作権法は、公衆向けに楽曲を演奏する権利が作曲者側にあると規定し、作曲者らの委託を受けたJASRACが使用料の徴収を代行している。訴訟では音楽教室や個人レッスンでの演奏が「公衆向け」と言えるかどうかが問われ、昨年2月の1審判決は、演奏者が講師か生徒かを問わず、レッスンでの演奏は全て「公衆向け」として徴収対象になると判断していた。
これに対し、知財高裁は「生徒による演奏は自分自身の技術向上を目的としている」として、講師らの演奏とは区別して考えるべきだと指摘。「生徒は特定の講師に聞かせるために演奏しており、公衆に聞かせる目的ではない」とも述べ、「JASRACは生徒の演奏に対して使用料を徴収できない」と結論づけた。
JASRACでは2018年4月から、原則として受講料収入の2・5%を教室側から徴収している。今回の判決が確定した場合、支払いに応じた事業者から「過払い分」の返還を求められる可能性もある。
判決後、東京都内で記者会見したJASRACの宮内隆・常務理事は「承服できない判決だ」と述べ、上告する意向を示した。原告側も「主張の主要な部分が認められておらず、上告を検討したい」としている。
安藤和宏・東洋大教授(著作権法)の話「生徒の演奏を『自主的なもの』と捉えた点は、音楽教室の実態を踏まえた適切な判断だ。レッスンでは通常、演奏の大部分が生徒によって行われている。判決が確定すれば、JASRACは徴収方法の抜本的な見直しを迫られることになるだろう」
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