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「夕暮れに、手をつなぐ」最終回:音(永瀬廉)のなかで生きていた、3年越しの“紅白の夢” - CINEMAS+


広瀬すず主演、永瀬廉(King & Prince)が共演する火10ドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」が2023年1月17日放送スタート。本作は、片田舎で育った女の子・空豆(広瀬すず)と、都会の平凡な男の子・音(永瀬廉)の、互いの夢を応援し合う青春ラブストーリー。共演は田辺桃子、黒羽麻璃央、松本若菜ら。

本記事では、最終回をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「夕暮れに、手をつなぐ」最終回レビュー

音(永瀬廉)が人づてに託した手紙とイヤフォンとともに、空豆(広瀬すず)はパリへ発ってしまった。ラブストーリーなら、ギリギリのところで音が間に合い、空豆をハグして想いを伝えるところだろうが、そうはならない。

ここでの生活が、人生で一番楽しかった、と響子(夏木マリ)に告げた空豆は、明らかに未来を見ていた。もしかしたら、音のことを考え、彼の存在に未練が残る余地もあったのかもしれない。しかし、東京での暮らしを“思い出”にし、自ら新天地へ旅立つ思い切りの良さを感じたのも事実。


けれど、空豆は3年後に日本へ戻ってくる。母親である塔子(松雪泰子)の言葉を借りると、「あの子はパリの水に合わなかったようです」……。彼女の持ち前の創造性が活かされるのは、パリコレの舞台ではなかったということだ。

このドラマは、音と空豆の“青春ラブストーリー”だけれど、随所に“やるせなくなるほどのリアル”が織り込まれている。好きな人がパリへ発つと知っても追いかけない、ギリギリで間に合う展開もない、劇的な出立も3年の時を経れば過ぎたことになる。

けれど、それがリアルだ。もう、どうしようもないほどの現実だ。私たちそれぞれが、各々の人生でイヤというほど味わってきたリアルが抽出されている。

そんななかで、3年の間、“あの夢”を忘れずに心に秘めていた音。セイラ(田辺桃子)とともに、紅白に出場し、ステージ衣装を空豆がつくる。そうすれば、また3人で会える日がやってくる。人によっては笑ってしまうような夢かもしれない。

けれど、音はそれを糧に3年の時を過ごした。そして、実際に紅白出場を果たす。


「あんな風に出会うなんて、運命だって信じてた」

振り返ること第1話。あのとき、あの交差点で、たまたま同じ曲を同じタイミングで聴いていた二人。お互いに言葉で伝えはせずとも、運命の出会いを意識していた音と空豆は、まさに神様のイタズラによってすれ違い続けた。

けれど、いつか絶対にまた会える、そんな青くてこそばゆいような夢を頼り、二人はそれを実現させた。なんとも幸せで、見ているだけで心があたたまるラストのキスシーンは、あの日に空豆がこっそり音にした“秘密のキス”を思い出させる。

もう、秘密にしなくても良い恋が実った。もう二人のやりとりを追うことはできないけれど、この先も、喧嘩をしたりすれ違ったりしながら、彼らだけの関係を育んでいくのだろう。そこに、名前はあってもなくてもいい。

(文:北村有)

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