TBS系日曜劇場『VIVANT』。8話までの放送で次第に人物や真相が明らかになる中、まだまだ謎が多い『VIVANT』。乃木憂助とベキ、ノコルの二面性や、柚木薫のテントとの接点を考察する。
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※以下、ネタバレを含みます。
『VIVANT』第8話までのあらすじ
日本企業・丸菱商事がバルカ共和国の企業・GFL社に対し、契約金の10倍にもなる1億ドルの誤送金をしたことから始まった物語。別班として活動する乃木憂助(堺雅人)は、黒須(松坂桃李)らのチームと共に再度バルカへ向かいテントと接触を図る。しかし乃木は別班を裏切り幹部のノコル(二宮和也)とともにテントのアジトへ。ノゴーン・ベキ(役所広司)と対面し、DNA鑑定の結果、二人が親子であることを確認した。乃木はノゴーンの信頼を得るべく、頭脳を活かしノコルと協力することに。テントの収支報告書などからテントの実態が次々と明らかになってゆく……。
【考察】疑いを加速させる乃木、ベキ、ノコルの二面性
第8話はテントの内情が次々と明かされた重要な回だった。乃木とベキのDNA鑑定も行われ、親子であることが確認される。8話前のダイジェストで放送された堺雅人のインタビューでは、前半は柚木薫らと「家族になっていく」ストーリーだったのに対し、後半は「家族を見つける話」とし、「家族」が重要なキーワードだと語っていた。実際に、乃木が息子だとわかるとベキやノコルに変化が現れる。家族として大円団……ともいかない彼ら。腹の探り合いのような状態の3人に疑いの目をむけてしまうのは、彼らの心情が捉えにくいことや、二面的であるからだと推測する。
沈黙のF、愛を求める乃木憂助の真意は……
乃木はDNA鑑定により自身が息子であると証明し、念願の父親と接触した。しかし、そのまま牢屋に入れられ粗末な対応に当惑。父親の信頼を勝ち得るために持ち前の頭脳を活かす。
ここで気になるのが、これまで幾度となく見せられてきたFとの会話シーンが日本でのシーンを最後に登場しない、ということだ。乃木はベキに対し「息子だと分かれば愛情を注いでくれるかもしれない」という期待を持っており、一方Fは「日本のためにベキを始末するんだ」と異なる立場を口にしていた。一つの体に宿る2つの考え、それはどちらも本心のように思える。
今話で乃木はノコルにポリグラフ検査をされているが、ナイフを突き立てられた箇所以外は正常な値を出し続けている。ベキを殺すつもりがないことや父親への気持ちに嘘は見られない。しかし、彼はFの考えを隠し、全くの別人のように振る舞うことができる。第5話で野崎が乃木の経歴を知り別班だと確信するも「乃木はレベルが低すぎる、理屈が通らない」と困惑していたのは伏線だったのだろう。愛情を求める乃木の影に隠れながら、Fは粛々とテントの情報を探っているのかもしれない。実際、テントやノコルの会社・ムルーデルの収支報告データを閲覧しながら、「テントの本当の目的は何か」と明らかに疑い、探りを入れている。この行動はFである可能性も高い。どちらにしろ乃木に「死なせねえ」と宣言したFは、何かしら行動を起こすのは間違いない。
父に従順でありながら嫉妬が滲み出るノコル
いまひとつ捉えどころのない乃木に対して、わかりやすいほど感情が現れたのがノコルだ。8話前ダイジェストの役所広司のインタビューでは、ノコルが乃木に向ける感情は「嫉妬」であると言及していた。血のつながりはないものの、ベキの息子として支え、従順だったノコル。突然現れた男が父親と血のつながりがあり、しかも長男だという。協力しろと言われても複雑な心情になるのは理解できる。ベキに向かって「牢屋に入れておくつもりですか?血のつながった息子を」と強調するように言ったり、「私はあなたの息子ですよ」と告げる彼もまた、ベキの愛情にしがみついているのだろうか?同インタビューで堺雅人はノコルを「傷つきやすさと透けて見える感情」の持ち主と語る。父への忠誠心と、乃木への嫉妬、2つの気持ちを抱く彼は、何か問題を引き起こしそうな予感がする。
利用か?愛情か?謎が多すぎるノゴーン・ベキ
ベキが理解しにくいのは、乃木だけではなく幹部への態度や自身への矛盾に似た謎が多いからだ。横領を働く部下を切り捨てる一方で、家族を人質に取られたアリには同情し自由を許した。また、テントのリーダーでありながら、公安としてバルカで諜報活動を行っていた過去。思想のない請け負いテロ活動でありながら、各地に乃木家の家紋を残していたこと……。物語を解き明かす核心はここにあるように思えてならない。
乃木に対しては感情を昂らせながらも真意が見抜けない。DNA鑑定の結果が判明し、息子の生存に涙を流していたベキ。テントの目的のひとつが孤児救済であるのも、幼い息子との別れが大きなきっかけとなったのだろう。だが、自分との再会のためとはいえ、仲間を裏切り殺した乃木を簡単に受け入れることはできず、組織のために「利用」すると決める。テントの収支報告を見る乃木の一挙一動を監視する様子からも疑いのようなものを感じた。そんなベキに変化が訪れたのは、乃木の特技によって児童養護施設の不正を見抜いたあと。乃木にノコルと同じ純白のデール(モンゴルの民族衣装)を与え、兄弟で協力するよう伝える。これにはノコルも困惑を隠せない。ベキが乃木に対する感情がどういったものなのか、信頼をしはじめているのだろうか。次回予告では、乃木を別班だと問い詰めるシーンもあった。
真意の見えない乃木、感情が隠しきれないノコル、何重にもベールに包まれた謎多きベキ。この「家族」はどのように共存、あるいは袂をわかつのだろうか。
【考察】柚木薫とテントの接点
テントは孤児救済のため各地に児童養護施設を作る、いわゆる義賊であった。しかし、3年前より収益の大半をバルカ北西部の土地購入に費やしていることが判明。年間8000万ドル程度だった稼ぎも3年前より売り上げを増やし現在では約9倍にもなる7億3870万ドルまで上がっている。それはテロやサイバー攻撃などの激化によるもののため、世界中からマークされることとなった。その目的は不明だが、日本を最終標的地にしていることと関連があるのではないかと乃木は考察していた。
ここで、考えたいのは3年前という時期。柚木薫がバルカに渡りWHIで医師として従事し始めたころと合致するのだ。これまでFILMAGAでは柚木薫の正体について考察を進めていた。メインキャストのほぼ全てが別班・公安・テント関係者であるため、二階堂ふみ演じる柚木薫も何かしらの組織の一員なのではないかと考えていた。特に、熱心に看病しているジャミーンとの繋がりは怪しい。ジャミーンと、その父・アディエルはどうやらノゴーン・ベキと知り合いのようなのだ。1話で、父親を失ったジャミーンに対しベキは「退院後は我々で面倒をみる」と言っている。その「我々」に、柚木薫は含まれているのではないか。長らく伏線などは見当たらなかった柚木薫だが、薄く、小さな接点でも見逃すことはできない。
まだ明かされない謎に今後も注目
第8話ではいよいよテントの謎が解き明かされてきた『VIVANT』。だからこそまだ見えない部分が濃い謎として残っている。ノゴーン・ベキの本当の目的や、乃木とFがどういった道を歩むのか、注目していきたい。また、ジャミーンについてもまだ語られていないことが多い。監督が5話前に放送されたダイジェストの中で「笑顔が物語の鍵になる」と言及していることも覚えておきたい。テレビドラマとは思えないスケールで進む『VIVANT』。こんなに勢いがあって、積み重なる謎にワクワクさせられるドラマはそうないだろう。ぜひこのブームに乗り遅れないでほしい。
『VIVANT』作品情報
日曜劇場『VIVANT』
原作・演出:福澤克雄
脚本: 八津弘幸、李正美、宮本勇人、山本奈奈 演出: 宮崎陽平、加藤亜季子
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/VIVANT_tbs/
※2023年9月4日時点の情報です
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