1943年に生まれたヴァンゲリス(本名:エヴァンゲロス・オディセアス・パパサナスィウ)は、ほとんど独学で音楽を学び、高校時代からプロ・ミュージシャンとしての活動を開始。1963年に最初のバンド、フォーミンクスを結成する。1968年には母国を離れてパリに移住し、プログレッシブ・ロック・バンドのアフロディテス・チャイルドを結成。ヒット曲「Rain and Tears」(邦題:雨と涙)で知られ、1972年の大作『666』など3枚のアルバムを発表した。
その後はソロ活動を本格化させ、電子音楽の先駆的なアルバムをリリースする一方で、1970年代には映画音楽の分野にも進出。フランスの映画監督フレデリック・ロッシフのためにドキュメンタリーの音楽を制作し、アメリカで成功を収めたことが80年代の飛躍につながった。また、1974年にはリック・ウェイクマンの後任として打診されたイエス加入を断る一方で、同バンドのボーカリストであるジョン・アンダーソンと交流を深め、1979年に音楽ユニット「ジョン・アンド・ヴァンゲリス」を結成。3枚のアルバムを発表している。
1981年の映画『炎のランナー』の音楽で第54回アカデミー賞作曲賞を受賞。象徴的なテーマ曲に後押しされ、同年のビルボードアルバム及びシングルチャートで1位を獲得。リドリー・スコット監督の映画『ブレードランナー』(1982年)とともに代表作となる。スコット監督とヴァンゲリスは、後に1992年の『1492 コロンブス』で再共演している。日本では公開当時の邦画史上1位となった大ヒット作『南極物語』(1983年)のサウンドトラックや、日韓同時開催となった2002 FIFAワールドカップの公式アンセムを手がけたことでも話題となった。
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