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山下智久が切り開いた新しい道 平野紫耀や松村北斗も尊敬する、自らの可能性を広げていく歩み - Real Sound

 2006年に山下智久が主演を務めたドラマ『クロサギ』(TBS系)。完結した同名漫画を原作に、King & Princeの平野紫耀を主演に迎え、新たなドラマ作品として10月21日より放送される。

 2006年に放送された『クロサギ』は山下にとって初めて連続ドラマ単独主演を果たした作品だった。2019年4月にTBSテレビ入社式でサプライズゲストとして登場した際には「僕もTBSさんで初めて主演の作品(2006年・ドラマ『クロサギ』)をやらせていただいて、ここから始まっているなと思っています」とも語っていた(※1)。

 改めて振り返ると山下は、それまで『池袋ウエストゲートパーク』、『ランチの女王』、『ドラゴン桜』、『野ブタ。をプロデュース』など数々の人気ドラマに出演してきたが、いずれもかわいらしい美少年や憎めないチャラ男など、アイドルが演じるのにふさわしい愛されキャラだった。

 対して、この『クロサギ』で演じたのは、詐欺師によって家族を奪われたことで、詐欺師を騙す詐欺師・クロサギとなった黒崎高志郎。いわば毒をもって毒を制す、ダークヒーロー的なキャラクターでもある。鮮やかに詐欺師を欺き、いつかは業界の大黒幕である桂木(山崎努)をも……と、強かに生きる黒崎は、山下にとってまさに新境地という役柄だった。

 また、この『クロサギ』の主題歌「抱いてセニョリータ」でソロCDデビューを果たしたことも、彼のキャリアにとって大きな分岐点となったように思う。同楽曲は、その年のテレビドラマ主題歌の中で最も売れた作品と言われるほどヒット(※2)。当時、NEWSの一員としても活動していた山下だったが、この時期に一気にソロとして活動していくビジョンが広がったのではないだろうか。

 その後『プロポーズ大作戦』、『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』、『SUMMER NUDE』など主演作品を次々とヒットさせ、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』は長期シリーズ化されるほどの人気を獲得。さらに並行してソロコンサートを成功させるなど、確かな手応えを積み重ねていく。

 グループとしてデビューした後にソロアーティストとしても活躍するというキャリアは、当時のジャニーズでも珍しいものではなくなりつつあったが、それでも山下の動きには多くの人が注目せずにはいられなかった。それは、視線が常に海外に向いていたことが大きかったかもしれない。

 例えば、かねてより英語を学んでいたこと。その実力は『クロサギ』の劇場版でも「語学が堪能な若手経営者」として詐欺師の前に現れる際にも大きく役立っていた。そして2011年には単独ワールドツアーを開催し、海外にもファン層を拡大していく。

 またジャニーズの歴史が長くなるにつれて、少しずつ根づいていった「ジャニーズといえば」というイメージ。例えば「Webに慎重な姿勢を取る」というのも、長らく暗黙の了解になっていたところだ。そんな慣習を山下はさらりと飛び越え、中国のSNS「Weibo」でオフィシャルアカウントを開設。さらにInstagramの開設も山下がジャニーズで初めてだった。このとき初投稿でも英語を交えるなど、海外ファンを意識した内容であったことも記憶に新しい。

 今でこそジャニーズがSNSで自ら情報を発信していくことは特別なことではなくなったが、それも山下の大きな一歩があればこそと言えるかもしれない。

 同時に、俳優としても新たな覚悟を見せたことでも話題をさらった。映画『あしたのジョー』では3カ月以上かけて肉体改造に専念。体脂肪率を5%まで絞り込み、ボクサー役を熱演したのだ。ビジュアルを大切にしているジャニーズタレントは、役作りのために髪型を変えるだけでも多くの視線を集めるなか、山下の体つきそのものを変えていくストイックさは、「ここまでやれるのか」という従来のジャニーズ俳優のアップデートともいえる姿だった。

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