50歳以上の棋士による将棋の「達人戦」(立飛ホールディングス特別協賛)の準決勝と決勝が25日、東京都立川市であった。決勝で羽生善治九段(53)=日本将棋連盟会長=が丸山忠久九段(53)を破り、初代達人の座に就いた。
羽生九段は、午前の準決勝で森内俊之九段(53)に勝利。その後、丸山九段が佐藤康光九段(54)に勝ち、決勝の対戦カードが決まった。決勝では羽生九段が積極的に攻め続け、丸山九段の粘りを振り切った。
表彰式では、羽生九段が一人壇上に登って将棋連盟会長として賞状を読み上げ、続いて表彰者として賞状を受け取る仕草を見せた。「一人二役」を演じ、約600人の観客を爆笑の渦に包んだ。「一つ結果を残せたのは棋士として大きな自信になった。これを機に前進して進めたらと思う」と語り、優勝の喜びをかみ締めた。
達人戦は今年創設され、4月1日時点で50歳以上の現役棋士54人が参加。谷川浩司十七世名人(61)と森内九段、羽生九段、佐藤九段のシード棋士4人と、予選を突破した4人の計8人が本戦に出場した。現役の将棋連盟会長の棋戦優勝は、2017年にNHK杯を制した佐藤九段以来となる。
表彰状 自らに「授与」
表彰式で、羽生九段は会長として棋戦全体の講評を述べた後、「ここからはしゃべりにくいのでまた改めて」と締めくくって一旦は降壇。その後、改めて表彰状を授与する会長として登壇し、誰もいない右側を向いて賞状を掲げ「表彰状、優勝、羽生善治殿」と読み上げた。読み終えるとそのまま左側に向き直って表彰状をうやうやしく受け取るポーズを取った。
式後、羽生九段は報道陣に対し、「自分が優勝するか分からないが、優勝者に自分で渡すつもりでいた。かなり珍しいケースで本当にこれでよかったかはあるが、皆さんがだいぶ笑っていたので、それはそれでよかった」と満足そうに振り返った。【丸山進】
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