2023年11月21日、大型フェス「X-CON」の中止が発表された。12月8日~10日に幕張メッセで開催予定だったこの音楽フェス。小室哲哉からキングギドラ、宝鐘マリンからDeLaSoulまで各分野のトップが名を連ねる出演者は超豪華で、フェスにあまり興味がない私(中澤)のところまで噂は聞こえてくるレベルであった。
ゆえに、2週間前ギリギリになっての中止発表は突然すぎる。しかも、X-CONのサイトを見ると「主催者側の都合」と書かれているではないか。主催者都合でこの規模を飛ばすってあんまり聞いたことないぞ。そこで何があったのか事情を知る業界関係者に話を聞いてみた。
・業界関係者の話
「資金ショートです」と語るのはある業界関係者。本記事では便宜上、仮名で龍二さんと呼ぶことにする。大手イベンターや大手メディアがかかわっており関係する人物も多岐にわたるこのフェス。龍二さんはフェスにかかわる知り合いから相談を受けていたという。
龍二さん「アーティストブッキングやグッズの製作などをする場合、事前にデポジットを払うのが慣例です。全体のギャラの半分を先に支払っておくんですね。頭金のようなニュアンスです。そんなデポジットが払われていないという話を聞くようになったのが1~2カ月前でした。その時点で払うお金がなかったんでしょうね」
──幕張メッセで開催されるイベントでそんなことあるんですね。
龍二さん「そうですね。ただ、こうなることは想像がついていたとも言えます。実は私も『儲け話がある』と誘われたのですが、責任者の顔ブレが過去に噂になるくらいの失敗をしている業界では有名な人達ばかりだったため、かかわらなかったんですよね。
そういった判断をした人は多いと思うのですが、フタを開けてみたらやはりという感じでした。私の知り合いでも2000万円くらいの損害を受けている人が2~3人います。全部まとめると10億規模の可能性もありえますね」
──その話を聞くと、むしろなぜ、このイベントが開催に向けて発進できたのか不思議に思わずにはいられないんですが……。
龍二さん「このイベントの主催はX-CONのために作られた合同会社なんですね。その合同会社から大手イベント会社に依頼して幕張メッセを借り、色んな大手が参画したのではないかと。
その大手の信頼で雪だるま式に大きくなったけれど、お金は目算ほど集まらなかったんでしょうね。一般論で言うと、この後は会社を破産させて借金をチャラにするのではないでしょうか」
──こういうことってよくあることなんですか?
龍二さん「残念ながら、イベント業界ではそこまで珍しくないイメージです。年一回くらいはあるかな? 今回はお客さんを巻き込んでいるので表に出ただけで。やらかした人が5年くらいしたら戻って来るのもこの業界のあるあるなので気をつけないとダメですね」
──とのこと。なお、龍二さんによると、業界向けプレスリリースに責任者として名前が出ていたOさんは、中止発表の2~3日前にTwitterアカウントが消え、現在音信不通なのだとか。責任者とは……?
外側からは、誰もが憧れるキラキラしたステージに見えたX-CON。しかし、その華やかさの内幕は悲惨な状況だったようである。巨大イベントの裏に潜むリスクを感じる生々しい話でした。
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