故ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡り、テレビ朝日は12日、テレ朝と旧ジャニーズ事務所(SMILE―UP.)との関係を検証する番組を放送した。番組では、103人の局員やOBにヒアリングしたと報告。局内で、事務所への忖度(そんたく)の空気が醸成されていたことを認めた。
忖度に言及したのは7人で「他の事務所の男性アイドルグループなどを(番組に)出そうとすると事務所が気にするだろうなと忖度した」といった証言を紹介。性加害問題を巡っては、被害者らで作る「ジャニーズ性加害問題当事者の会」が今年立ち上がったが、同会の代表平本淳也氏が番組のインタビューで、「(取材の申し入れが他のメディアに比べて)テレ朝さん、ものすごく遅かった」と語る部分が放送された。
西新常務が「(人気グループが多数在籍する)事務所に対して会社マターとして編成や制作の幹部が出演交渉に動くことが多く、忖度という空気が醸成された。エンターテインメントの(忖度の)空気が報道局にも影響したのなら猛省すべきこと」と述べた。
同局では、人気音楽番組「ミュージックステーション」で、事務所と競合する他事務所のアイドルの出演がほとんどなかった問題などが指摘されているが、こうした個別番組の検証はなかった。一方、旧テレ朝敷地内のリハーサル室でジャニー氏から性被害を受けたと被害者が証言している問題については、当時の局関係者らが亡くなっている点などを理由に「事実関係の確認は困難だった」などと結論づけた。
週刊文春が性加害問題を報じた記事について東京高裁が重要部分を真実と認める判決を下した2003年などにこの問題を報じなかった点については「(当時)人権侵害という認識がなかった」とする元ニュース番組デスクの証言などを紹介していた。(平岡春人)
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